相変わらず、この企画もトラブルから始まった、当初、僕とY氏2人だけの予定だった所に急遽T橋氏が参加できる事になったため、人数が3人になってしまい、18きっぷの手配が間に合わなくなってしまった。18きっぷの不足が生じ一時危機的状況に陥りそうになったが、それは何とかY氏手配でなんとかなった。本当に有難い事であった。(ここまではよかったのだが)
予定は例によって青春18きっぷ旅行のプランニングとなり、Y氏は前日のムーンライトえちごで出発。僕とT橋氏は6日の高崎線下り始発で待ち合わせ、Y氏は長岡付近から引き換えし、僕らとは上越線の新清水トンネル内のモグラ駅で知られる土合駅で待ち合わせという事になった。
前日の夜にY氏だけ単独で出ている構成がよく分からないかもしれないが、ムーンライトえちごの指定券を余らせてしまったので、有効利用のために乗りに行くとの事で、まあ難しい事は抜きで9月6日の朝土合駅の改札で合流という事になった。
さて、当日、9月6日、高崎線の始発に乗るとT橋氏とは無事合流できた。問題は土合駅でY氏が現れるかどうかが疑問であるが、
「多分大丈夫でしょう」
などとT橋氏と談笑していた。ところで、この高崎線始発、今日はやたらとおば様方が乗ってらっしゃって賑やかな事、賑やかな事。20人くらいで何処へ行くのかと思ったら、どうも話の内容から察して川原湯温泉に行くらしい。川原湯といったら、吾妻線が分かれる渋川まで一緒である。どうやらハマってしまったらしい。前日の深夜までバイトをしていたせいもあって、どうもねむい。おば様方の声も気になる事なく、眠りにおちそうであった。眠い目を開けながら、高崎までの間はT橋氏と話ながらなんとか頑張る。群馬県に入る頃にY氏から連絡が。何でも切符代の振込みをしなければならなくなってしまったので、銀行が開いてからの出発になるとの事だった。そして合流は新潟に17時ごろとの事である。銀行が開いてからでももっと早い普通列車のパターンもあるはずだったが、また何かやりかけの作業でもあるのであろう。
「予想どうり合流できませんね。」
「まあ、毎度の事だから、きっと新津か新潟に着くまでには合流できるでしょう。」
人一人来ないのにそんな会話も恐ろしいが、そんなやりとりで済んでしまった。
高崎からは上越線に乗り換え。この高崎線始発から上越国境越え始発への乗り換えは冬のスキーシーズンは、湯沢方面へのスキー客で朝の埼京線状態になっており、高崎線の始発を降りた段階で、すでに満席になっていて、座るのはおろか乗ることも難儀な列車である。しかし夏場で、しかも夏休みも終わった季節とだけあって車内はガラガラで余裕でボックス席に座れてしまった。例のおば様方は違う車両に乗られているようである。時間もあるようなので、朝の時間だけ限定の「上州のあさがゆ」を手に入れる事もできたし、ここで朝食という事にした。
朝かゆをたべているうちに高崎を出発。いよいよこれから山がちな地形へと足を踏み入れる。何とか土合に付くまでは起きていようと努力するつもりであったが、朝がゆを食べ終わってしまうと、前述のように疲れもあってか新前橋の到着にも気づかず、見事に水上まで爆睡で通してしまった。
水上に着くと跨線橋を渡って、今度は長岡行きに乗り継ぐ。この列車、冬のスキー、夏の海水浴、登山の行楽シーズンは高崎−長岡間を直通運転するが、すでに通常運転にもどっており、あろう事か115系の2両編成が充当されていた。このオールMの115系、当初は越後線などで使われていたが、E127系の投入により、最近は高崎支社圏内にまで顔を出すようになった。ちなみに、本格長距離運用に備え真空焼却式のトイレが取り付けられている。(JR東日本の列車は足の長い列車には律儀にトイレが付く事だけはいいのだが・・。)
水上を出ると、湯檜曽、土合の順に停車する。湯檜曽の手前ですでに新清水トンネル(13500M)に入っており、両駅とも下り線のみトンネルの中に駅があるが、上り線は従来どうり、地上に駅がある。中でも土合は上り線はループで高度をかせいでいるように、地表との間でかなりの高度差が生じており、下りホームから地上の改札口までは462段の階段で結ばれている。
土合に付くと意外な事に5、6人の下車があった。我々2人以外は登山客のようである。恐らくシーズン中はもっと降りるのであろう。駅を降りると天神平まで登る谷川岳ロープウェイの乗り場まで15分くらいで行けるので、時間があれば、往復するのもいいかもしれない。今回の乗り継ぎは1時間25分。ホームへの上り下りを合わせて30分、ロープウェイまでの往復が20分としても余りの有効時間が30分ちょいではロープウェイで上下するのはきびしいのではないのだろうか。今回はそう思って、天神平までの往復は見合わせる事になった。
さて、この地下ホームから地上へ向かっている階段!。462段あるとの話だが、上の方には出口が見えている。しかし、登れど登れど、なかなか近づいて来ない。これは結構きつい部類に入る。雑誌の写真などを見てこんな階段5、6分で登れるんじゃないのと思ってもいたが、とんでもない。本当に標準時分の15分くらいはかかりそうだ。老化だ老化だとY氏に言われそうであるが、何とか10分ちょっとで階段を上りきった。登りきった所に「改札口まであと143メートル」という表記がしてあるが、ここから先まだまだ通路が続いている。国道291号をまたぐ、跨線橋を渡り、いくつか階段を抜け。やっと改札口にたどり着いた。
新潟支社のにおいがする雰囲気の改札台がならんでいるが、この駅はすでに無人化されている。夏のシーズン中は特別改札をやっているのかもしれないが、それにしても無人駅にしては大きすぎる雰囲気である。改札口から更に進むと地上にある上り線ホームが見える。本当ならここでY氏と遭遇する予定であったが、予定どうり本人は到着していない。
天神平まで行くプランもあったが、断念してしまったので、駅を観察したり、ボーとしたりで時間を潰す事にした。国道291号沿いに出てロープウェイ方面に少し行ってみる。
左手の斜面に線路が見えるが、これは上越線の上り線である。昨年の夏の集中豪雨で土砂崩れが発生し、1ヶ月近くに渡って不通になったのは記憶に新しい。崩壊の跡は今でも生々しく、茶色の地肌剥き出しの復旧跡も確認でき、また、上方の山中では治山工事をしているのか、ショベルカーのエンジン音が響き、忙しそうに右往左往するアームがチラチラ見える。
去年の復旧の際は新清水トンネルを単線使用して、復旧が行われたが、この区間は首都圏と新潟の幹線としての役目を失いつつあるので、列車本数はごく限られた本数である。地盤が緩く、危険で、また距離も長いループを挟んだ上り線はもはや放棄してもよさそうであるのだが(後のY氏談)
さて、例によって居眠りをしながら時間をつぶし、やっと列車の入線の15分前になった。下るにせよ、距離が長いため、余裕をもってホームに向かわないといけないのが難点である。もと来た道を戻り、トンネル内に戻るとうっすらとモヤがかかっている。トンネル内は気温も低く、湿度も高め。一種独特の雰囲気である。まもなくモヤの中にヘッドライトが輝き、新潟行きの115系が入線してきた。この電車は新潟行。今となっては貴重な足の長い列車である。列車に乗るとまたもや眠気が襲ってきた。まったく何回寝れば気が済むのか呆れられそうだが、前日の睡眠時間は2時間ほどだったため、目をとじればすぐに眠ってしまいそうだ。ドラえもんに出てくるのび太君状態だが、最近僕の特技はすぐに眠れる事だったりする。
新清水トンネルを抜け、土樽を出た感触と、越後湯沢を出た感触はあったのだが、気づくと長岡の手前まで来ていた。
長岡で信越本線と合流、かつては北陸方面との乗り換えのメイン駅で、「かがやき」、「雷鳥」、「北越」に乗り継ぐ客でごった返していた感じであったが、ほくほく線の開業で乗換駅が越後湯沢に移った事により、今はすっかり静かな駅になってしまった感触がある。長岡にしばしとまった後、さらに新潟をめざして走り出す。外の景色は越後平野。実りの季節を迎え、重く穂をたらした稲田が続いている。
1時間ほど走って、新津に着く。新津は復活したC57によるSLばんえつ物語号の運転に沸いており、駅内の広告はSL一色といった感じである。あいにくC57の姿は見えなかったが、客車がホームに近い側線に留置されており、発電用エンジンの調整を行っているようであった。新津は最近は首都圏の電車を作るJR東日本の自社工場の新津車両製作所が有名であるが、この付近の気動車の一大基地である。キハ40系、キハ58系、そして新鋭のキハ110系といった車両が籍を置いている。キハ110系以外の一般型気動車は青と白の新潟色である。さて、新潟色のキハ40に混じって併結されている車両の中にどうも雰囲気が違う車両がある。中央に寄った引き戸が2つ付いており、キハ40にしてはどうもノッペリしている。
「???。」
と思い、よく見ると、キハ52である。飯山線のキハ110投入で一掃されたと思っていたらこんな所で生きていた。恐らく磐越西線に入るのであろう。
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土合駅の下り線は地下深く
清水トンネル内にある
土合駅の階段は462段
先は見えていても
行けども行けども近づかない
トンネルを出ると長い連絡橋を
渡って、地上の駅舎へ
三角屋根の土合駅の駅舎
立派な駅舎だが無人駅である
上りホームは地上にある。
ここからループ線を経由して
湯檜曽まで下る。
(ホームは工事中だった)
人影もなく、寂しい駅舎内
利用者が置いたのか
粋な心遣いの座布団
でも重大な秘密が隠されていた
(見たい方はクリック!)
いくら谷川岳の麓だからって
水だけの販売機は過激だ
再び下りホームに下り、
待つことしばし、
靄の中にヘッドライトが輝いた |