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文とカメラ:ムーンライト松崎


久下橋


 私が学生だった頃、葛和田と並んで、熊谷の隠れた名所として知られていたのが熊谷の市街地の外れ、荒川にひっそりと架かる久下橋である。この橋は洪水になると、水面下に潜ってしまう、冠水橋と呼ばれている橋である。昔は荒川にはこのような鄙びた橋が何本もかかっていたのであるが、大規模な橋に掛け替えられたりして随分と少なくなってしまった。久下橋は最後にして、最大の木造橋である。下流の鴻巣には市道として残っている箇所が2箇所ほどあるが長さも交通量も久下橋には到底及ばない。
 荒川にかかる橋は下流から、大芦橋、久下橋、荒川大橋、熊谷大橋、押切橋となるが、熊谷の市街地に直行できるのは国道407号線の荒川大橋のみである。荒川大橋は時間帯によって非常に込み合うので、久下橋は荒川大橋の渋滞を避けるための抜け道として、また東松山方面への近道として珍重されているのである。
 しかし、この久下橋、2004年に熊谷で開かれる国体に向けて新しい橋を建造中で、計画では2002年度中に完成とあるから、もはや、風前の灯火となってしまった。これほどまで大規模な冠水橋は珍しく、保存運動もあるようであるが、維持費がだいぶかかるようで、厳しいようである。
 この橋、片側交互通行な上に非常に狭く、運転が難しい。学生の頃は混雑を避けてよくここを通ったが、この橋を難なく通過できたら初心者卒業だ等と言われていたものである。そんな事もあって毎日のように渡った橋であり、随分と思い入れの深い橋であり、なくなってしまうのは非常に寂しいので、最後の姿を見るべく、軽トラに乗って、昼休みにフラっと出かけてみた。(フラッと出かけられるほど近くなのです、、、)


夕暮れの久下橋遠景
東日本の冠水橋としては最大級だとか
(1998年)



橋のたもとから、数種類の橋脚が芸術のようである。
(1998年)

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穏やかな秋の昼下がりの久下橋
久下橋の通行の様子
(2002年秋)

 

毒牙をむく荒川
(1998年夏)

 

さらば久下橋!
最終日の模様
(2003年春)

 

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