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移動日三月一七日(金) 新潟〜小樽


 

新日本海フェリーでゆったり渡道

   
新潟には五時一二分着。フェリーの手続きは出航一時間半前の九時までに済 ませればいいのだから かなり時間がある。始発の越後線で弥彦線を乗りつぶしに行っても間に合った ので、三時間半の待 時間を考えると後悔した。仕方なく朝の町を郵便局〜万代シティとまわって駅 に着きそれからは待合 室のTVをみて時間をつぶし、八時ごろにバスターミナルへと向かう。タビテ ツ九二号に紹介されて いた、バス総合案内システムなるものは、八時半からの営業とのことで、バス のきっぷ売場のオバち ゃんの案内に従って、臨港三丁目ゆきのバスに乗る。途中、朝のラッシュに巻 き込まれ、二〇分程で 新日本海フェリー最寄りの末広橋についた。バス停からは「北海道航路」の道 路標識の方向へ歩くこ と、5分程で真新しいフェリーターミナルに着いた。

ターミナルビルに隣接した駐車場には無数のトラックがひしめいており、フ ェリーを支えているの がトラック輸送業者なのだと痛感する。トラックのナンバーを見ると札幌、釧 路、函館…と道内各地 の車が勢揃いで、早くも北海道の匂いがしてきた。ターミナルビルのカウンタ ーで、乗船名簿に記入 し、旅行代理店発行のクーポン券と引き替えに乗船券をもらう。乗船券の寝台 の指定欄は空白だが、 それは乗船後に船内で指定するとのことで、どうやら発券の段階では寝台は指 定されておらず、定員 制らしい。

九時四五分の乗船開始まで時間があるので、岸壁に出て、写真撮影をしてお く。今日の就航船はタ ビテツ九二号に紹介されていた「フェリーあざれあ」(二〇、五五四d)で、 僚友の「フェリーしら かば」(二〇、五五二d)と共に午前に新潟を出航する便はすべて新造船に置 き換えられた。天気予 報によれば今日の日本海北部は荒れるとのことだったが、新潟の空は青く澄み きっており、「フェリ ーあざれあ」の新造間もない白い船体が青い空によく映えている。

新潟で出港を待つ「フェリーあざれあ」



後方のデッキではトラックの積込みが始まっており、それをしばらく眺めてい ると乗船開始時刻が迫っ てきたようなのでターミナルへ戻ることにした。 九時四五分、乗船が始まり、船内に入る。入り口のドアを入ると、いきなり 雑誌に紹介されていた 豪華なエントランスにぶちあたり、度胆をぬかれた。まるでシティホテルのよ うなフロントで寝台の 指定を受け、ベッドに向かう。さすがに桟敷席の指定はないようで皆、足早に 船室へ向かっていた。 (といってもシーズンオフで桟敷席はガラガラだったが。)僕の乗った二等寝 台は列車で言えば、 583系の寝台を二段にした感じで、この広さは申し分ない。列車の旅ならば、 暖かい缶コーヒーを開 けて発車までのひとときを過ごすといきたいところだが、二等寝台室には窓が ないので、日が高いう ちから篭もっていても仕方ないと思い、寝台に荷物をまとめると、後部デッキ に出てみた。

定刻どおり一〇時半に「フェリーあざれあ」は長い汽笛と共に新潟の岸壁を離 れた。しばらくは埋 め立て地の工場群に挟まれた水路を行くが、やがて灯台のある防波堤を回り、 日本海へ出た。昨日の 雨がうそのように晴れており、快適な出航となった。佐渡島もはっきり見え、 同じ頃に出航したのか 佐渡汽船のフェリーの姿も見える。陸地へ目を向けると、裾野は雪が融けだし ているのだろうか、 頂上付近にだけ雪を抱いた山並みが見える。海を渡る風も何処となく春の匂い がするようだ。

今回選択したルートは黄金ルートではなく新日本海フェリーによる渡道ルー トをとることにした。 当初は帰りに北斗星の個室でと考えていたのだが、辛うじて最終日に臨時の「津軽」が運転されるようなので、帰りは臨時の津軽 で帰ることにして、北 斗星の特急料金と寝台料金をフェリー代にかえることにした。

 



船内に戻り、少し探険してみる。シーズンはかなり込みあうようだが、オフ なので一般旅行者は約 50名といったところ、あとはほぼ同数のトラックドライバーのようだ。デッキ で潮風に吹かれる人、 ロビーで談笑する人、早くも昼寝を決め込む人など、思い思いに時を過ごして いる。船内は、3Fに 出入り口とロビーがあり、二等の各船室群とドライバーズルーム。4Fは1等 の各船室群とレストラ ンそれに浴場。5Fには僕らにはほとんど縁のなさそうな特等の船室がある。 3Fのレストラン横のプロムナードに行くと誰もいない。シーズン中は賑わ っているのだろうがち 着いていて雰囲気がいいのでしばらく居座ることにした。穏やかな海を眺めて いると、ふと「みんな 何しているのかなぁ。」と思い、ケースからE氏の「高校卒業旅行公式ガイ ドブック」なるA5版 の冊子に挟んだ最終の計画表を見てみると、どうやら函館の山線のようである 。Y氏の書き初めの ような計画表には陸奥市川とある。「何線だったけ?」まあいい。G氏はど うかとみると何ともう 東北本線を帰っているではないか!。いやいや、なんとバラバラな面々だろう 。

プロムナードでボーとしていると、昼時になったので、船内のレストランで 昼食をとることにする カレーライスが五八〇円と、まあ法外な金額ではない。味の方も上々でいちお う文句はない。食堂 の客層を見るとTシャツ姿のゴツイ体型の人が多く一目でトラックドライバー と分かる。

食後は、例の海の見えるプロムナードで、穏やかな海を眺め、真っ昼間から 水割りのウイスキーの 缶を傾けながら、昼食後のひとときを過ごす。黄金ルートだったら今頃、超満 員の<しらかみ三号> に立席で揺られている頃だろうが、こうしたゆとりの時をわずか五、〇〇〇円 少々の追加で楽しめる のだからフェリーにしてよかったと思う。適度にアルコールがまわったのか眠 くなったので自分の寝 台に戻って仮眠をとることにした。

激しい揺れに目を覚ますと、三時半。これは来たかと、ロビーの窓から外を 見ると、さっきまでの 晴天とうって変わって、どんよりと曇り、雨も降っているようで、風もあるの かピューピューと激し い音がする。すかさず、この様子を撮ろうと不用意にデッキに出ると潮ふぶき をくらってしまった。

「あ〜カメラが〜。泣」(今日は朝からついていない。)

すぐにカメラをクリーニングして大事には至らなかったが、モード切り替えス イッチが効かなくなっ てしまい(いや、これは大事だ!)この後二、三日、フルオートでしか撮影で きずに苦労することに なってしまった。

海水をかぶり、このままだと気持ちが悪いので風呂に入ることにした。勿論 、無料で、さすがに二 万d級のフェリーとだけあって結構広い。運が良ければ日本海に沈む夕日が奇 麗に見えるという話だ

が、浴場の窓から見える景色はあいにく、灰色一色だ。しかしよく揺れる。浴 槽のお湯が前後左右に 揺れている。これだけ大きな船が揺れるのだからかなり高い波なのだろう。

風呂に入ったあとは、レストランで夕食をとり、ロビーでBSのニュースを 見たり、書き物をした りで夜は更けていった。

 

ゆとりある旅路を僅か5000円ほどで楽しめる新日本海フェリーはオススメ!!

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