こういった未開業路線は、これからの新線建設に警鐘を与える産物として見るしかないのだろうか。この一連の未開業線は実際に再生できるものと、どうしようも無いものとして放棄すべきものに分類する必要がある。例えば北海道の美幸線や九州の高千穂線などは新規着工はしない方が良いと判断できる。一方四国の宿毛線や阿佐線や岡山の井原線は第3セクターとして再生される事になり、開業が見えてきた。これら鉄道建設公団のAB線が取り上げられている中、三陸鉄道、あぶくま急行、樽見鉄道、智頭急行、北越急行となんだかんだといいつつ結構な数が建設が再開され、開業に漕ぎ着けており、中には高速路線とした開業した線区もある。既に夢は着実に現実となってきたのである。
どうしようもない路線はやはり取り壊される運命なのか。
残念ながら、これ以上の建設をあきらめなければならない路線もあると言うのも事実である。実際のところは再建可能な所の大部分が開業してしまった。また、不採算路線は阪神大震災や豊浜トンネルの事故以後、危険性が指摘されだいぶ取り壊しが進んでいる。とり壊されたものにもはや希望はない。
以前取材した岩日北線は僕は公共交通機関としての再生は難しいとの判断をしたが、公共性を考えれば建設するべきなのだが、採算性という尺度を持ち込んだとたん、それらは夢と化してしまうのである。公共性を重視して建設しても結果として大赤字を生み、今ややたらと耳にするようになった、破綻への道を歩んでしまうのである。
赤字ローカル線の転換先として一時話題が沸騰した第3セクター鉄道も、ここへ来て明暗が分かれてきた。北海道ちほく高原鉄道は毎年、5億円に及ぶ赤字を計上しながらもCTC化を進め、高速化に対する模索も行っているものの、沿線人口の流出に歯止めがかからない現状では、コストを削減してもいっこうに出口は見えてこない。驚くべき事はかつて第3セクターの優等生と言われた三陸鉄道が慢性的な赤字に悩むようになり、平成筑豊鉄道も赤字決算となった。
多くの第3セクター鉄道は運営費補助の期限が切れ、代わって自治体が補助している。存在し続けられるかどうかは地元自治体の懐次第といった様相の鉄道が多い。しかし、過疎化が進む地域を貫いているだけに、沿線自治体の財政も厳しいはずであり、先行きは明るくない。
そんな中での新線建設であるが、キーワードは「高速化」および「大都市近郊の鉄道」にあるように思える。相次いで開業した、智頭急行や北越急行の検討は高速化という新しい位置づけの上になりたっている。また井原鉄道は岡山近郊ベットタウン化が進む地域に対し、渋滞が激しい道路に代わる交通機関としての位置づけの元に建設が進んでいる。高速化できない、あるいは高速化のメリットが無い場合はやはり自治体の懐次第になってしまう。
また、最近開業した第3セクターを見ていて思う事は駅前駐車場の利用が意外と多いという事だ。実際には北越急行と阿武隈急行で見たのだが無料で開放していると言う事もあって結構な数が止まっており、数日間滞泊している車もあるようだ。特に地方の人は家を出るときはとりあえず車で出るようで、下駄代わりにに車を利用している現状を受け入れ駅前、しかも無料か限りなく安い値段で止められる駐車場を整備する事も重要である。