さて天の川トンネルを抜け、なおも原生林を走る。北見大曲の次は仁宇布となっており、15Kmも駅がない事になっている。つまり昔から人は住んでいないと言う事だ。なだらかに峠を越え、オホーツク海へ抜ける水系から天塩川へと注ぐ日本海側の水系へと分水嶺を越える。大した峠ではないが、ここを越えると美深町に入り、仁宇布もすぐそこである。仁宇布の集落の中心に入り、左手からかつて名寄本線の駅もあった下川から来る道道49号が合流してくるあたりが仁宇布の駅の跡である。
仁宇布駅は駅舎こそ撤去されたものの、ホームその他の構造物がよく残っている。そしてトロッコ王国と書かれているサハネ581が鎮座している。事前の情報や江原氏の話ではカバーを被った583系がいるとは聞いていたが、トロッコ列車の駅舎として使う予定だったもののようだ。所属表記を見ると盛アオとなっている。確かJR化に際して、青森で余剰になっていた583系付随車が改造のタネ車としてJR北海道に行っていたのがり、結局使われる事なく廃車になったものがる。おそらくその片割れなのではないかと推測される。立ち入り禁止と書いてあるので遠巻きに見ているが、何やらサハネ581のガラスが割られている。不幸中の幸いか、583系は2重ガラスなので、外側だけ割れ、致命傷には至っていないが、こういった荒らしが出るのでいちおう立ち入り禁止としているのであろう。
構内の枝幸側は、側線群が1本に収束されたあたりに車止めがあり、プツリとレールが途切れているが路盤はその先も未成線として続いており、道路がオーバークロスしているのが見える。振り返って仁宇布の駅構内を見てみるとホーム両端と1本の側線があり、ホーム横にサハネ581が置かれているのが見える。
トロッコ列車の発進基地
となっていた仁宇布駅跡
サハネ581が駅舎として利用されている。
仁宇布駅跡から枝幸方を望む。
バラストの敷かれた未成線が
伸びているのが分かる。
同じ個所から振り返って見た仁宇布駅構内。
駅の面影をよく留めている。ここから先は営業されていた事がある訳だから公団のAB線であっても廃線のカテゴリに属する。もっとも10年ずれているだけであるから、廃線の構造は今まで見てきたものとほとんど同じであり、築堤やPC橋がベースになっている準近代路線である。路盤は今までの未成線以上にずっと寄り添う。仁宇布を出てからはしばらく右手を走り左手に高広の滝がある高広パーキングまでがトロッコ列車が運行されている区間である。高広パーキングを出て路盤は左手に移り、川を渡る度に廃線のPC橋が見えたりする。
道道の高広パーキング前
でトロッコ列車は終点。
高広パーキングからは高広の滝が望める
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