佐久間線の今後
佐久間線の印象であるが、50%の竣工率とあるが、ほぼ路盤は残っている印象である。ただし橋梁部については橋脚のみの竣工で橋桁はかかっていない。今後の動向であるが、再利用される事が決定した第2天竜川橋梁以外は取り壊す方向へと向かうであろう。現在トンネルはしっかりした閉鎖工が施されているが、路盤については大部分が現存している。ただし、天竜二俣駅付近については、再開発され、すでに民有地となっている模様である。当然、鉄道線としての復活はないであろう。かつての天竜川の水運のルート沿いに建設された悲願の鉄道だったが、とうとう列車が走る事はなかった。
鉄道建設公団の未成線シリーズは今回で4作目となった。ふとした事で始まったこのシリーズであるが、この4年間に未成線を取り巻く環境は大きく変わった。北越急行、智頭急行、井原鉄道など、開業が計画されていたものはおおかた開業し、呼子線や高千穂線など大部分が完成していたものの宙に浮いていた路線は取り壊しが進んで跡形もなくなってしまった。開業と取り壊しの両極に事態がすすみ、その整理も大方終了に近づきつつあるのではというのが実感である。今回取材した佐久間線も後者の取り壊しへの道を歩き始めた。湖面の橋脚が歩道として整備されるようになった事はせめてもの救いであったが、もはや鉄道の車両が走ることはないだろう。
(左)呼子線
(右)美幸線
未成線はしばしば、廃線とおなじカテゴリで扱われる。しかしながら未成線を巡る我々のポリシーは別のものであった。「もし、ここが開業したとしたら」「ここに列車が走るとしたら」などと思い巡らしながら歩くのが本来の目的であった。しかしながら呼子線を巡るあたりから、様相は一変し始め、一斉に整理がはじまった。取り壊しが始まり、列車が走ることが絶望になってしまうと、この旅の本来の目的はなしえなくなってしまう。
目的を失った旅は楽しみのない物となってしまう。もちろん鉄道建設公団のAB線という狭いカテゴリの中で取材を続けた故の結果であり、整備新幹線をはじめとした計画中の路線はまだまだたくさんある。しかしながら山間に突如現れる高架橋を求めて旅した我々の旅は大きな岐路に立ってしまったのではないだろうか。
おわり
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