滝川から新十津川まで歩こう

さて本文から独立してこのコーナーが設けられたのには訳があります。1−1 図は弘済出版社の道

内時刻表の地図ですが、札沼線に注目してください。札沼線は長い盲腸線(終 着駅で乗り換えのない

行き止まりの路線のこと)のようで、完乗をねらって全線走破しようとすると どうなるのでしょうか。

1−2図は時刻表で、よくみると札沼線が石狩当別および北海道医療大学を境 にダイヤ上、二分され

ていることが分かるでしょうか。そしてどうやら新十津川まで行く列車は、一 日に三往復しかないよ

うです。全線走破したいなら札幌発は六時一二分、一〇時〇六分、一六時〇六 分の各列車が乗り継ぎ

がよさそうです。しかしいずれも往復に六時間ほどかかってしまい、しかもあ えて言いますが札沼線

は終点まで田園地帯を延々と走る単調な路線です。ここまで聞いてプランを立 てるとわかるのですが、

起点が札幌というのは以外と中途半端で、どう考えても単調な札沼線で一日を つぶしてしまうか、昼

間どこかに行っていて、札沼線は夜中に延々と乗るしかなくなってしまうよう で、どうもシックリい

きません。

 しかしここでJTB時刻表のユーザーなら気付く事があります。なんと54 25Dが一二時二九分

に新十津川に到着した後にすぐ滝川行きのバスがあるではないですか。結局わ ずか一五分程で一三時

ごろには滝川へ抜けることができるのです。一三時からなら富良野線を回って くるくらいならなんと

かなります。僕は長らくJR時刻表のユーザーでしたのでタビテツの記事を読 むまで、バスの存在自

体は知っていましたが、時刻の入手法を知りませんでしたから、時刻が分から ず計画が立ちませんで

した。

 多くの方がこの方法でこの区間の乗車方を解決してきたことと思います。し かし僕はそれをもう一

歩すすめて、バスが15分で走るということは、僕の経験上歩ける距離なので はないかと思い、国土

地理院発行の二万五千分の一の地図を手に入れるべく神保町の三省堂へ向かい ました。そこでばった

り江原氏に会ったとか、そこで江原氏が買った地図を彼が深名線の車内で読ん でいて酔ったなどとい

うのはどうでもいいことで、地図を見ると新十津川駅から滝川駅までは、わず か4〜5キロ程しかな

く十分に歩けそうです。この計画をE氏に話すと

「雪が積もっているから、甘く見ないほうがいいよ。」

と言われ、逆にY氏は

「もう雪が解けていて道はうんこだらけだけど、時間は十分なんじゃないの。 」

とのことで、駄目押しでDr.T氏に聞くと

「お前、そんな事考えている考えている暇あるなら勉強しろ!」

と答えは三者三様なので、論より証拠と実際にプランに組み込んだわけです。

実際の報告

 <スーパーホワイトアロー4号>で滝川には九時三一分に到着。5428D の新十津川発は一二時

三九分と三時間強も時間があるので、江原氏にならって近辺の郵便局をつぶす 事にした。駅をでると

<スーパーホワイトアロー>が停車するだけあってさすがに活気がある。「西 友」滝川店(結構大き

い)の横を抜け広いアーケード街を旭川方面へ向かう。さて三〇〇メートルほ ど歩いたので地図上

の郵便局が見えてもいいのだが、アーケード街の並びにはそれらしき物は見当 らない。

「通りを間違えたかな」

とも思ったが反対側のアーケードに寺院の門らしき物と、本堂らしい屋根が見 える。

「この辺のはずなのになのにおかしいなぁ。」

しばらく立ち止まって考えていると、大きな荷物を背負って、地図を片手にう ろうろしている男を不

審に思ったのか

「何か、お探しですか。」

と中年の男性に声をかけられてしまった。事情を話すと快く答えてくれ、郵便 局は地図上(A)の位置

であること(無論彼が(A)と言ったわけではない。)と昔、地図上の位置に郵 便局があったかもしれ

ないが分からないとの事だった。男性にお礼を言って、寺院横の道を空知大橋 側に50メートルほど

行くと郵便局はあった。(滝川駅前郵便局#97164)

 さて次は市役所のとなりの(B)の局に行くことにした。先程のアーケード街 を旭川方面に向かい、

変形交差点を右に、すぐに国道に当たったのでを左に曲がると、滝川市役所の 看板が。看板どおりに

右に曲がりしばらく行くと右手に滝川市役所があった。そして斜め左前方に「 あった」滝川の本局だ。

(滝川郵便局#97003)中へ入ると異常に混んでいる。とりあえず順番待 ちの札を取るが、14

人待ちのようだ。貯金用の窓口は2つ、かなり時間がかかりそうだ。待合室の 片隅にキャプテンシス

テムの端末なるものが置いてあり、どうやら無料で使えるようである。誰も使 ってなかったので、気

になる「地下鉄サリン事件」の情報を引き出したが、街頭の電光掲示板の文字 ニュース並の情報量し

か引き出せなかったのでガッカリした。

 一〇時四〇分。地図上には市街地にあと数個マークが見えるが、滝川局で 三〇分ほど時間を取ら

れてしまい、ルートの時間計測のために滝川駅に一度、戻る事を考えると他は ルート上の局で貯金す

ることにして、市街地は断念することにした。

 駅に戻り一一時〇〇分、新十津川へ向けて出発する。今度は先程のアーケー ド街ではなく、線路添

いの道を旭川方面へ向かう。バスの営業所の所で右にカーブして線路と別れる 。少し大きな道を左に

曲がり㈰、しばらく行くと 函館本線のアンダーパス の前の交差点㈪に出る。㈰の前にアンダーパスに

つながる細い道が描かれているが、写真を見てもらえば分かるとおり、アンダ ーパスに接続している

か怪しい(残雪に覆われていたので詳しく調査していない)ので正攻法で攻め たほうが無難だろう。

 函館本線をくぐると石狩川橋までの一直線の道にでる。雪国独特の殺風景な 雰囲気があり、不安に

なるが函館本線をアンダーパスする道にさえ出れば新十津川まで一本道なので 迷うことはないだろう。

視界に石狩川橋は見えず、「先は長いなぁ。」と思いながら、思い荷物を背負 っててくてく歩く(ク

ソ。もっと軽量化するんだった。洗面器も長靴も結局使わないじゃないか!) 。さての郵便局がそ

ろそろ見えてもいいのだが、地図上の交差点のところにはない。「また移転か 。」と思ったら、やは

り通りの前方に真新しい建物があった。(滝川有明郵便局#97210)

 貯金を済まし、石狩川にでるのはいつかと思いながら歩く。途中にセブン・ イレブンがあり、酒も

扱っているのでここで昼飯なり夕飯の補給ができるだろう(ただし二四時間営 業ではなかった。)。

アンダーパスから約一〇分、駅から約二〇分でやっと 石狩川橋 に出た、ちなみに貯金や写真撮影など

で寄り道した時は時計を止めているので実測値である。この石狩川橋が意外と 長く、渡り終えるまで

八分かかった。距離にして800メートルといったところだろうか。

 橋を渡り切り、国道275号が直角に曲がる交差点㈫に出たところで郵便局 を探す。一旦、275

を美深方面に向かい、「右側に郵便局はないか」と歩いたが、見当らないまま 北二号線との交差点㈭

に出てしまった。見落としてないかと石狩川橋のほうへ戻りながら探すがまた また見当らないまま元

の交差点に戻ってしまった。「おかしいな」と思いながら辺りを見回すと、

「あった!」

275号が直角にまがった新十津川寄り(D)にこれまた新築の建物があった。 (橋本郵便局#970

33)

 局員さんに新十津川局の位置まで教えてもらい、再び出発する。北一号線を 越え、左手に集合住宅

群を見ながら進むと、すぐ下流で石狩川に注ぐ徳富川にかかる 新十津川橋 に出る。新十津川橋は掛け

替えの真っ最中で、すでに橋げたがかかったおり、もし次回来るときは新しい 方の橋を渡ることにな

るだろう。ここで地図をよく見ると、新十津川橋の上流川に何やら橋の跡のよ うなものが見える。事

前に、吉野氏とおそらく廃止になった石狩沼田へ向かう札沼線の物だろうと見 当を付けていたが、今

も残っているか不安だった。実際見てみると、赤い鉄道橋らしきものがちゃん と残っていた。予定で

は近くまで行くはずだったが、あと三〇分しかなく鉄橋までの雪深い道程を考 えると断念せざるをえ

なかった。(滝川局でのロスタイムが痛い。)

 新十津川橋を渡ってしばらく行くと、新十津川の中心ともいえそうな交差点 ㈬に出る。この交差点

を図の示すほうへ入れば新十津川駅はすぐなのだが時間があるのでもう一局貯 金することにした。こ

れはちゃんと地図上と同じとこにあったがこれまた新築の郵便局だった。(新 十津川郵便局#970

70)

 新十津川局で貯金を済ませ、 新十津川の駅 に着くと一二時二九分。ちょうど石狩当別からの542

5Dが入線してきた。所要時間は四八分だったので、約五〇分、滝川駅から一 時間を見積もっておけ

ば、なんとか間に合うと時間だろう。