HOME BACK

 サークルの夏旅行があろうことか2年連続で北海道であったため、行っていなかった未成線の調査も行ってみる事にした。行ったのは名羽線の羽幌側。昨年作の幻の鉄道建設公団AB線3道北の未成線で取材したが、時間不足のため取材できなかった場所である。調査日は1999年8月下旬。この日の前日はオホーツク海側を自動車で北上、稚内を経て、幌延でビバーク。明けて翌日の早朝4時頃に幌延を出発し、国道232号を南下した。

 まだ薄暗い中、日本海側をひたすら南下。羽幌が近くなってくるあたりで夜が明け始めた。絶妙なタイミングである。筑別より国道232号より別れ道道に入る。曙までこの道道に沿って羽幌炭鉱鉄道に沿って走っていた。しばらく平地を走って曙。羽幌炭鉱鉄道はここより左に分かれて山間に分け入っていった。鉱石ホッパーが残っているはずなので、ここで左に曲がってみる。早朝であるためか、山奥へ入るに従って霧が濃くなってきた。昨年に続いて今年の夏も雨が多い。私が北海道に来る前に大雨が降ったらしく、あちらこちらで通行止めが存在していた、羽幌炭鉱方面への道は閉鎖はされていなかったが、海岸へ向かう道が大雨の影響で閉鎖されていたため、穏やかではないようだ。更に霧が濃くなる中進むと、霧の中から羽幌炭鉱の鉱石ホッパーが現れた。霧の中から不気味に立ち上がるその姿はいかにも無気味であった。筑別より、曙を経てここまでが筑別炭鉱鉄道。名羽線は羽幌から曙までを羽幌炭鉱鉄道の路盤を共用して開業するはずであった。

 曙に戻り、名羽線のルートに最合流する。名羽線はこれより三毛別、上流と経由して奥地に分け入っていく。曙で道道に合流するが、先に進むにしたがって道が細くなってくる。北海道の道と聞くと立派に整備された道が思い浮かぶが、一旦整備されていない区間に入ると、ボコボコである。ここもご多分にもれずだんだん道が悪くなってきた。三毛別駅の予定地付近では土砂崩れの災害復旧工事まで行われておりさらに幸先が悪い。その災害復旧工事現場を通り過ぎようとすると、なにやら見た事のある構造物が現れた。どうやら、これも雑誌の写真によく出てくる三毛別曙の鉱石ホッパーらしい。周囲はなにやら工事が行われており今にも取り壊されそうな雰囲気であった。

 三毛別付近を過ぎ先に進む。この付近で路盤と交差するはずであるが、どうも確認できない。しばらく行くと左方向に入っていく道がある。これより先がいよいよエグい羽幌二股ダム方面である。 そして、(地元の砕石業者なのだろうが、名前だけは良く聞く)マキタ産業が、鉱石運び出しに使っている路盤がこの先に隠されている。事前の江原氏の調査では路盤に立ち入る事はできず、またその迂回ルートである林道はとても入れる広さではないと言っていたがいかがなものだろうか。とりあえず入れる所までは入ってみようと左折をしたとたん、あっけにとられてしまった。

 な、なんと土砂崩れで通行止めになっている。

 せっかくここまで来て何とも落胆してしまったが仕方ない。未成線の調査のためだけに北海道に来ていなかったのがせめてもの救いであった。私が入っていけなかった区間の名羽線については、サイトをご覧になった方から貴重な情報をいただいたのでそれも紹介したい。


以下 かねこ様提供

 1、2回は北海道の方へ現状を偵察に行っております。最近の現状はここ1、2年ぐらいの間で美幸線の道道等の交差部分や名羽線の第1羽幌川橋梁の橋脚等の取り壊し(撤去)が行われています。また、名羽線三毛別駅は産業廃棄物処理場になり炭坑施設と共に埋もれようとしています。
 自分は名羽線に特にこだわり(?)を持っており名羽線を全線見てまわりたいのですが山の中の山なのでなかなかすべてを見るのにとても苦労をしています。(だからそそられる??)車で入れる所はすべて行きたいと思っているのですが羽幌側は例の砕石業者が借り切っている名羽線道路だけ(平10年10月、平11年5月と10月)は入らしてはもらえませんでした。(警備員のおっちゃんに止められた)ただはじめて(平成9年10月)に現地を訪れたときは第1羽幌川橋梁は現存しその先の県道と林道(ダムへの道)も自由に入ることができましたが平成10年10月に訪れたときはすでに第1羽幌川〜は撤去され林道もマキタ産業によって通行止となってしまいました。平9年のときは時間がなくて林道から先の部分は行くことが出来ませんでした。いま思うととても残念に思います。最近は国鉄清算事業団が施設等の撤去を急ピッチで進めているので何とかしてこの区間だけは見てみたいと思っております。
 朱鞠内側ですが平10年のとき並行してはしる林道の終点まで行ってみたもののほとんど森に囲まれどれがどれだかさっぱりわかりませんでした。分岐してから2KMぐらいは分かるもののそのさきはそれらしい築堤がある程度で地形図を持っていってもよくはわかりません。(JTBの廃線跡を歩くでは橋脚があるらしいですが・・)


 しかし、実際に行って見ると廃線跡を歩くで紹介されていた写真がいかにエグいかを実感できる。鉱石運搬用の区間もそうであるが、名寄側にしても石油沢川の橋脚を見たという話を聞いた事がない。行くことの出来ないブラックボックスの存在がまた名羽線の醍醐味かもしれないが、またいつか、行ける機会があったらジックリ調査してみたい。何度フラれてもそう思わせてくれるのが名羽線の魅力である。

余談

 未成線ではないが、名羽線の羽幌側とセットで見所だったのが、羽幌線の廃線跡。海岸の国道沿いに続く高架橋が見所であった。しかし、この付近は風力発電所も建設されている、日本有数の強風が吹く地域であり、廃線の高架橋の風化したコンクリート辺が国道に飛んでくる事が多く、危険防止のため、とうとう取り壊されてしまった。
 昨年暮れか、今年に入ってからだったか、定かでないが、今回2度目の名羽線の調査をした時にはすでに撤去された跡であった。
 名羽線羽幌側の調査とともに去年に見ておけばよかったと後悔することしきりである。

教訓

路盤、廃橋、廃トンネル。見られるもの、見られるうちに見ておくべし。

 


(左)撤去されてしまった羽幌線の高架橋
(右)道路と密接していない部分がわずかに残されていた


Thank you for your watching!
This contents is produced by
KUZUWADA-NET
Copyright1999
KUZUWADA-NET
Atsushi Kawasaki